ヨーロッパの夏は日が長い?

ヨーロッパの夏は日が長い?

こんにちは!

今回は、ヨーロッパは何故日が長いのかを解説します。

弊社では、ヨーロッパのブランドを中心に靴を輸入しているため、欧州出張の機会が多くあります。そのため、夏に出張へ行くと、ヨーロッパの日の長さを実感することができます。当オンラインショップとヨーロッパの日の長さは関係ありませんが、ご興味ある方はご一読ください。

 

まずは問題です。

①この写真は6月中旬のパリで撮ったものです。何時でしょうか?

 

②この写真は5月末のデンマークで撮ったものです。何時でしょうか?

 

答え

①21時過ぎのパリ、セーヌ河岸です。

この日のパリの日没時間は21時55分。夏の日の長さを楽しむように、パリ市民が過ごしていました。

 

②22時過ぎのデンマーク・バイレの陸上競技場です。

この日のバイレの日没21時55分、22時過ぎでもこれだけ明るいです。

ちなみに、下の写真は、同じくバイレで23時に撮影したものです。23時でも空が薄明るいのがお判りになるでしょうか。

 

 

では、実際になぜヨーロッパは日が長いのか見てみましょう。大きく分けて3つの理由があります。

 

①サマータイム

下図はヨーロッパの日照時間を示したものです。

北欧・スウェーデンのストックホルムは実際に太陽が出ている時間が非常に長いです。3時台の日の出、22時台の日没です。

一方で、他の各国も日は長いですが、東京よりも日の出は遅いのが分かると思います。実は、ヨーロッパは「サマータイム」を採用し、夏と冬で時間をずらしているのです。

サマータイムは3月の最終日曜日に始まり、10月の最終日曜日まで続きます。その間は、ずっと時計が1時間進められているので、日の出も日没もぴったり1時間遅くなるのです。

いわゆる「日が長い」は「遅くまで明るい」を意味するので、ヨーロッパの日の長さは、サマータイムで誇張されているとも言えます。逆に朝は日本の方が早いのです。

下の写真は、八丈島旅行の際に撮影した、朝4時50分の三宅島です。

下の写真は、パリへ向かう朝5時50分の車窓の景色です。

東京のほうが朝はだいぶ早いということがお分かりいただけるかと思います。

 

②標準時子午線との位置関係

次の理由が、欧州主要国の標準時子午線との位置関係です。

西欧の多くの国(ポルトガル、イギリス以外)が、東経15度を標準時子午線としたタイムゾーン「中央ヨーロッパ時間」を採用しています。実際には多くの国が標準時子午線より西に位置しているため、この地理的要因も日没の遅さの要因です。

下記地図をご覧ください。

極端なのはマドリードで、本初子午線(0°)より西に位置するにもかかわらず、東経15°を基準とする中央ヨーロッパ時間を採用しています。そのため、マドリードは日の出も日没も遅くなります。大体の場合、経度が15度違うと日の出・日没の時刻が1時間変わります。ローマとマドリードはほとんど同じ緯度なのに、2024年7月1日の日の出・日没の時間はマドリードの方が1時間ほど遅いのはこれが理由です。

 

③緯度

こちらは皆さんご存じと思いますが、ヨーロッパは日本より高緯度に位置します。夏は当然高緯度の方が日が長いです。先ほどの図に日本を重ね合わせましたが、ヨーロッパの中では比較的南に位置するローマやマドリードが、およそ青森と同じぐらいです。

 

高緯度の方が日が長くなる理由も簡単にご説明します。

地球の地軸は、公転軌道面に対して垂直ではなく、約23°傾いて回っています。イメージ的には下図のような形です。

夏の地球を拡大すると下図のような形になります。

この夏の地球を北側から見ると下図のような形となります。

ストックホルムの日が出ている時間は、赤線の角度で表されるのに対して、東京は紫線になります。高緯度の方が日が長くなるのがお分かりになるでしょうか。

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ということで、ヨーロッパの日の長さの要因3つのご説明でした。 

では、実際にその3つの要因が、どの程度日の長さに影響を与えているか見てみましょう。 

下表は2024年7月1日の各都市の日没時間について、東京との差を要因別に示したものです。


例えばパリについて見てみます。
東京よりパリは2時間56分も日没が遅いです。
一番大きい要因は、標準時子午線に対する経度の差で、1時間07分の差を生み出しています。東京は標準時子午線(日本の標準時子午線は東経135°)より5°ほど東にあるのに対し、パリは標準時子午線(東経15度)より13°ほど西の東経2°のところにあります。
次に大きい要因がサマータイムです。1時間00分がサマータイムの導入によるものです。
最後の要因が緯度の差です。パリのほうが東京より北にあるため、そもそもの日の長さが1時間34分異なります。そのため、日の出の時間に47分、日没時間に47分の差を生み出します。
 
各都市について、一番大きな差異要因を黄色で色付けしてあります。意外と緯度の要因は小さいことがお分かりになると思います。
 
以上を簡単にまとめると、
 
夏のヨーロッパの日の長さの要因は主に下記3つです。
①サマータイム
②標準時子午線との経度差
③緯度の差
日の出は東京より遅い地域が多いため、日が出ている時間の差以上に日没時間が遅くなります。

 
 
 
さて、結論はそれで良いのでしょうか。
実は、「北欧」の日の長さにはもう1つの要因があります。
「薄明」です。日没後と日の出前の明るい時間のことを薄明と言います。北欧はこの薄っすら明るい時間が、日本と比べて非常に長いです。
 
より細かく見ていきます。
国立天文台のHPによると、「太陽の伏角[ふかく](水平線と水平線下の太陽の中心とのなす角)が6度以内では,戸外での作業に差し支えない程度の明るさ」が続きます。
下図は、夏の北半球を、北方向から俯瞰したイメージ図です。右側から太陽光線が降り注ぎます。真ん中の黒線を境に、右側は太陽が当たるため昼、左側は太陽が当たらないため夜になりますが、境目にはどっちつかずのゾーンがあります。「薄明」です。国立天文台のHPによると、「上空の大気が太陽光を散乱して光っているため」日の入り後、日の出前に薄明るい時間が存在します。

この図を見てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、薄明の長さは緯度によって異なります。上図の点線で描かれた円は、外側が東京の北緯36度に、間の線がパリの北緯49度に、内側がストックホルムの北緯59度に引いた線になります。各緯度における薄明の長さをより分かりやすく示したのが下図になります。
各線の間の角度が薄明の長さになります。ストックホルムの薄明の長さは東京の薄明、パリの薄明とは比べ物にならないほど長いことが分かります。実際、先ほどデンマーク・バイレの5月末の日没1時間後の写真を載せましたが、まだまだかなり明るさが残っているのが分かったと思います。東京の夏は、薄明と感じられるのは30分ほどではないでしょうか。
 
2025/1/16追記:
薄明の持続時間を調べたので追記します。
2024/7/1における日没後の「市民薄明」の時間は下図の通りです。
※市民薄明・・・太陽の伏角が6度以内の、戸外での作業に差し支えない程度に明るい状態。国立天文台のHPを参照。
 
2024年7月1日の市民薄明(戸外での作業に支障が無い程度の明るさ)の長さは、東京で約30分、パリでは約42分に対して、ストックホルムでは87分まで跳ね上がります。
高緯度になると、一気に薄明の持続時間が長くなることが数字からも分かりました。
 
 
 
ということでまとめ直しますと、
 
夏のヨーロッパの日の長さの要因は主に下記3つです。
①サマータイム ・・・ 欧州では夏期に1時間時計をずらしているため、日没時間が遅くなり日が長く感じる
②標準時子午線との経度差 ・・・西欧各国はほとんど標準時子午線より西に位置するため、日没時間が遅くなり日が長く感じる
③緯度の差 ・・・ 欧州の大半が東京より高緯度に位置するため、実際に日が出ている時間が長い
上記3つに加えて、北にいけばいくほど夏季の薄明の時間が長くなり、日が長く感じられる。
 
これで完璧です!


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